日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: A11
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林政
市民の森林管理意識と想定する森林形態
*伊藤 勝久
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抄録

森林とくに人工林の整備管理問題から、公益的機能の維持増進を主目的に地方自治体が森林税制度を導入している。高知県が初めて創設し、現在で33県が導入している。島根県は2005年から「水と緑の森づくり税」として導入し、現在第二期の4年目にあたる。島根県と共同で森林および税制度に対する県民意識を追跡調査しており、2013年度の調査では、森林機能、税制度等の県民意識に加え県民が想定する森林形態を調査した。
その結果、税制度の認知、賛否は高まっており、期待される森林機能も、二酸化炭素吸収、水源涵養、土砂崩壊洪水防止に次いで木材生産が位置付けられ、木材生産と公益的機能の関係性も理解されているようにみえる。森林形態としては人工林よりも天然林、針葉樹よりも広葉樹、閉鎖林よりも疎林、放置林よりも管理林を選好している。その中で一例として二酸化炭素吸収を重視する人々および木材生産を重視する人々は、人工林よりも天然林、閉鎖林よりも疎林を選好する傾向があり、林業的知見とかけ離れている。森林への理解が高まっているとはいえ、一般県民の森林の認識と科学的知見にはギャップが存在していることが明らかになった。

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