日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: E01
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遺伝・育種
イタヤカエデAcer pictumの遺伝的分化
*田中 龍大齊藤 陽子井出 雄二
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抄録

カエデ科に属するイタヤカエデには複数の亜種が存在し,それらが同所的に分布することが少なくない。しかし亜種間の遺伝的分化や相互の交雑については明らかでない。本研究はイタヤカエデの亜種のうちエンコウカエデ(E),ウラゲエンコウ(U),オニイタヤ(O),イトマキイタヤ(I)を対象として,遺伝解析および葉の形態の測定を行い,亜種間の遺伝的分化や交雑と葉の形態との関係を明らかにすることを目的とする。
丹沢山地,伊豆天城山および山中湖周辺の各地域においてイタヤカエデ類計99個体の葉を採集した。これらをOgata(1965)にしたがって形態に基づき分類したのち,核SSRマーカー7座について遺伝解析を行った。また採集した葉の面積・周長の測定および微毛の状態の評価を行い,統計学的に分類した。
遺伝解析の結果,各個体は「EとU」,「O」,「I」の3グループに大別された。また形態解析の結果,亜種間で違いが見られた。これによりOとIは形態的にも遺伝的にも他の亜種と独立している一方で,EとUは葉の形態は異なるものの遺伝子プールを共有することが示された。また、一部に複数のグループの遺伝的特徴を合わせ持つ個体が見られ,亜種間での交雑が示唆された。

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© 2014 日本森林学会
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