日本森林学会大会発表データベース
第125回日本森林学会大会
セッションID: E03
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遺伝・育種
照葉樹林主要3樹種における遺伝子散布パターンの比較
*中西 敦史戸丸 信弘上野 真義吉丸 博志三浦 真弘真鍋 徹山本 進一
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抄録

同一の広く連続した照葉樹原生林において、これまでに照葉樹林主要3樹種のウラジロガシ、スダジイ、ヤブツバキについて遺伝子散布に関する研究が行われてきた。これら3樹種の花粉散布様式は、それぞれ、風媒、虫媒、鳥媒である。本研究では同一手法を用いて、これら3樹種の遺伝子散布を再解析し、比較することで、花粉媒介者の違いによる遺伝子散布特性の違いを検討した。3樹種それぞれの成木及び稚樹の空間位置及びマイクロサテライト遺伝子型を用いて、遺伝的構造、遺伝的構造の程度を示すパラメータであるSp、及び有効な近隣サイズ(Nb)と有効な近隣面積(Ae)をSpに基づいて算出し、比較した。その結果、Spはウラジロガシでは稚樹が成木より有意に高く、他の2樹種では、有意差はなかったものの同様に稚樹が成木より高かった。3樹種の成木におけるNbは、64.1~105.8で今後、局所的な遺伝的分化が期待される。樹種間のNbの違いは花粉散布距離の違い及び繁殖個体密度が影響したと考えられる。またいずれの樹種においてもNbは成木が稚樹より大きかったことから、多様な繁殖個体の次世代が生残・生長する機構が考えられる。

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© 2014 日本森林学会
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