日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1A034
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防災部門
丹沢小流域における土砂生産量の実態解明
*國分 美華子掛谷 亮太野澤 佳司村津 匠篠宮 和暉阿部 和時
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抄録

神奈川県丹沢山地では、1923年の関東大震災や1972年の豪雨などにより多くの場所で斜面崩壊が発生した。その後、治山砂防事業が積極的に行われたが、脆く風化しやすい地質であることやシカの食害などにより崩壊地の植生回復が進んでおらず、未崩壊地でさえ荒廃化している箇所が見られる。そのため、丹沢山地の多くの斜面では多量の土砂が生産されているものと推察される。本研究では、このような崩壊跡地や荒廃斜面からの土砂生産の実態を解明することを目的とした。調査地は神奈川県西丹沢地区の中川支流西沢流域内の最上流部に位置する面積0.59haの小流域を対象とした。この小流域には2箇所の崩壊地があり、左右両岸には基岩が露出した荒廃斜面が形成されている。調査方法は、土砂生産量を実測するため、崩壊地には末端部に土砂受けを設置し、荒廃斜面には生産土砂捕捉箱を20個設置した。測定間隔は約30日である。データ解析の結果、崩壊地からの土砂生産量は最大日雨量との相関が高いことが示された。荒廃斜面からの土砂生産量は降雨との相関性が見られなかったが、冬期には夏期の土砂生産量よりも多い6.5kg/m/monthという期間があり、凍結融解が関係していると考えられた。

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