日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: A25
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林政部門
国産材原木流通構造の比較分析:愛知県二原木市場の事例から
*金山 知広
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抄録

愛知県の原木市場は,90年代まで小牧地域を中心として展開したが,近年,小牧地域と新城地域の間で,近隣の資源を対象とした競争が見られるようになった。独自の原木流通拠点を持たなかった東三河においてその形成を目指して取扱量を伸ばした新城市場だが,小牧市場もまた買手の求める材を確保するため東三河にサテライトを形成したことから,東三河地域の良質材は川上側によって小牧地域へ選択的に出荷されている。この実態を比較する為に,新城市場の市売データと,小牧市場の聞き取り調査から両市場の比較分析を行った。その結果,東三河流域において,新城市場での平均単価と材積が下落する一方で小牧市場のサテライトが取扱量を伸ばした地域が存在し,両市場が東三河流域において競合していることが明らかとなった。このように愛知県の原木市場では小牧市場の比重が高まりつつあり,地域材の取り纏めを行う新城地域と,良質材の取扱量増加を目指す小牧地域による競争は,新城市場と比較して小牧市場が相対的に優位となっている。この要因として川下側の買手の需要が違うことによる販路の違いが考えられるが,より詳細な分析には更に山元と製材工場への調査が必要となる。

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