日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: A28
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林政部門
発電向け木質バイオマスの流通:宮崎県における林地残材の事例
*横田 康裕
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抄録

全国的に見ても木質バイオマス発電への取組が活発な宮崎県を対象に、発電用木質バイオマスの安定確保に向けた方策を検討するため、同県における発電用木質バイオマスの中で最も発生量が多い「林地残材」(=未利用材)に注目してその流通構造を明らかにした。林地残材の商流については、出荷者-集荷者-発電事業者が基本型であり、物流については、山元―集積拠点―チップ加工施設-発電施設が基本型であるが、それぞれ地域の状況(既存の流通構造、発電事業者の規模・地元との関係等)に応じて変化型がみられた。発電施設の本格稼働を目前に控え、多くの発電事業者が原料確保を本格化させており、宮崎県北部では既に原料獲得競争が激しくなっていた。このため、原料価格の上昇がみられ、「未利用材」として発電所着価格7,000円/生トンが相場となりつつある。また、商流面で、発電事業者が直接出荷者と取引する傾向や、物流面で、発電事業者が積極的に山側に原料調達を働きかける動きが見られた。林地残材の安定確保のための取り組みは、林業活動の振興による発生量の増大と、採算性の向上、出荷者の拡大、商流の整備・促進による利用可能量の増大とに分類された。

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© 2015 日本森林学会
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