樹木の腐朽は、木材生産において利益の損失をもたらす反面、野生生物が営巣などに使用する樹洞の形成につながる現象である。このため、腐朽が発生する要因の解明は、生物多様性の保全を考慮した森林管理を実行する上で重要である。本研究では、北海道北部に位置する北海道大学研究林において、択伐によって得られた木材の生産記録をもとに、天然生林から伐り出された材の空洞の出現傾向について解析した。およそ12箇所のデータを用いて、丸太 (材長1.9m~3.65m)に空洞が出現する確率を樹種・材径・箇所ごとにまとめた。全体でみると、空洞を持つ丸太の比率は、約5%であった。樹種ごとにみると、トドマツ、イタヤカエデ、ミズナラ、ダケカンバは比率が高かった。材径に関しては、大材径ほど空洞出現率が高い傾向にあったが、ミズナラは比較的小さい材径においても高い値を示していた。また、空洞出現率は伐採箇所によっても2%~10%と幅があり、講演ではその地形条件との関連性についても報告する。