日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1B025
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生態部門
落葉分解呼吸速度と微生物バイオマスの季節変化‐L・F層間、尾根・谷間の違い‐
*佐藤 開安宅 未央子檀浦 正子
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抄録

落葉の分解呼吸は、土壌呼吸に占める割合が大きいことと環境因子の影響を受けやすいことから、土壌呼吸変動の一要因と推定されているが、呼吸の主体である微生物のバイオマスとの関係に着目し解析した例は少ない。本研究では、京都府南部の落葉広葉樹二次林に優占するコナラを対象とし、最適な水分・温度条件下での分解呼吸速度(基礎呼吸)とSIR(基質誘導呼吸)法による微生物バイオマス(以下SIR)とを、月に1回の頻度で1年に亘って測定した。L ・F層、並びに尾根・谷でその落葉を4類型に区分し、各類型について、基礎呼吸とSIRの季節変動並びに各類型の違いを定量評価するとともに、相関を検定した。結果、SIRは冬にはL・F層で差が無かったが、春~秋にはL層の方が高くなった。また、春のSIRの著しい上昇は谷よりも尾根の方で早く生じた。一方基礎呼吸は、各類型の差がSIRほど明瞭には観測されず、季節変動も比較的緩やかであった。更に、基礎呼吸とSIRとの関係は、尾根Fで弱い相関が検出されるに留まった。環境や基質の分解段階の違いにより微生物のバイオマスや季節に対する反応は顕著に異なるが、基礎呼吸の変動は小さく、微生物相の重要性が示された。

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© 2015 日本森林学会
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