日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1B047
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生態部門
宮城県における海岸林植栽候補樹による耐潮性試験
*横山 翔一戸田 浩人崔 東壽
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抄録

宮城県では2011年3月の震災による津波で大きな被害を受けた海岸林の造成が進められている。宮城県では従来広く用いられてきたクロマツに加え、広葉樹を用いた造成方針が計画されている。海岸林は強い潮風による飛来塩分の影響などにより、樹木にとって生育の厳しい環境である。しかしながらクロマツと比べ、広葉樹の耐潮性に関する見識は十分ではなく、特に落葉広葉樹に関する知見は乏しい。そこで本実験では宮城県で海岸林の植栽候補樹である広葉樹苗木(クリ、ケヤキ、コナラ、サクラ、タブノキ)と、クロマツ苗木を用い、塩水吹付実験によって各樹種の耐潮性を調査した。実験は2014年6月中旬から10月上旬にかけて東京農工大学のキャンパス内で行い、塩水吹付処理は約2週間ごとに実施した。実験の結果、クロマツは生長量、生理障害、可視被害、葉内塩分量においても影響がほとんどみられず、次いでタブノキは影響が小さかった。クリ、ケヤキ、コナラ、サクラについては各調査項目で大きな影響が確認された。中でもサクラはいずれの調査項目も対照区(塩水にかえイオン交換水吹付処理)との有意差が早い段階で生じ、塩分の影響が最も受けやすいと考えられた。

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