日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1B053
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生態部門
フタバガキ科樹木の繁殖フェノロジーは種によって応答する気象条件が異なるか?
*森本 彩夏沼田 真也保坂 哲朗Mazlan Hashim谷 尚樹佐竹 暁子市栄 智明Nashatul Zaimah Noor AzmanNoraliza Alias
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抄録

東南アジアの熱帯雨林では、数年に一度、フタバガキ科を中心に様々な樹木が同調して開花・結実を行う一斉開花という現象が知られている。この現象を通じて多くの林冠木が世代交代するため、森林管理においても極めて重要な現象といえる。しかし、どのような種が、どのような繁殖フェノロジーを示し、一斉開花現象に寄与しているのかは明らかになっていない。本研究では、マレーシア森林研究所の見本林に生育するフタバガキ科112種を対象とし、35年の開花・結実のデータを用いて、繁殖頻度と同調性の種間比較を行った。その結果、繁殖頻度は種によって大きく異なっていたが、1976年から2010年の間に16回の繁殖同調が見られ、種数や種構成に違いがあった。さらに、気象要因と繁殖フェノロジーの関係を議論するため、1990年から2010年までの低温(日最低気温20℃以下)と乾燥(30日間積算降水量40mm以下)の発生状況を調べたところ、繁殖同調前に、乾燥と低温のどちらか、もしくは両者が見られたことが明らかになった。また、繁殖前に乾燥が見られた種、低温が見られた種があり、これらの環境応答の違いが繁殖フェノロジーの種間変異に大きく関わっているものと考えられた。

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© 2015 日本森林学会
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