日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1B051
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海岸クロマツ林における雌雄異株高木シロダモの結実特性
*秋保 開祉紙谷 智彦
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キーワード: 雌雄異株, 結果率, 花密度
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抄録

 近年、マツ枯れの進行する海岸林で樹種転換が試みられている。本研究は、海岸クロマツ林内でパッチを形成する常緑高木シロダモを対象として、結実に効果的なパッチサイズを明らかにし、天然更新への応用について検討する。シロダモはハナアブなどの双翅目昆虫が花粉媒介を行う雌雄異株植物であるため、雌への訪花と結実は周辺の雄のみならず、競合する雌の分布や花数の影響を受けると考えられる。
 マツ枯れが進行しつつある新潟市の海岸クロマツ林に60×60mの調査区を設置し、135個体のシロダモの位置図を作成した。2013年にすべての個体の花数とその後の結実数を調査した。翌年には粘着性トラップによる訪花昆虫数と花数の調査を行った。これらのデータをもとに、GLMMを用いて周辺雌雄が雌の結実と訪花数に与える影響を解析した。
 その結果、雌個体の結実・訪花数には周辺の雄花数が正に効いていた。一方周辺の雌花数は半径7m以下のパッチサイズで負の効果があり、雌個体同士が競争関係にあった。しかし、7m以上になるとパッチサイズの増大により雌個体同士が扶助関係にあった。これらの結果をもとにシロダモの結実特性を考慮した天然更新施業の可能性について考察する。

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