日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1B055
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生態部門
「山中のハリモミ純林」における植生変化とハリモミの遺伝的多様性
*吾妻 直彦齊藤 陽子井出 雄二
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抄録

 調査地は富士山北西部の鷹丸尾溶岩流上の天然林で、かつてトウヒ属ハリモミの純林だった。しかし、100年以上前の山火事や近年のハリモミ枯死により、現在では林相が大きく変化している。本研究では調査地における植生の時系列的変化と生育するハリモミの遺伝的多様性を明らかにした。
 まず、1959-2007年の空中写真6枚を用い、調査地を100mメッシュに分割してハリモミ、広葉樹、アカマツなど計7つの林相に分類した。複数の林相から選んだメッシュの中心地点8カ所で植生調査を行った。さらに、ハリモミ林とアカマツ林内のそれぞれ異なる3階層のハリモミを用いて核SSRマーカー5座による遺伝解析を行った。
 結果、ハリモミ林相のメッシュは46.3%から6.8%まで減少し、広葉樹を含む林相に変化していた。植生調査の各地点の胸高断面積合計による優占種はハリモミ、アカマツ、モミまたはコナラであった。ハリモミが優占する地点の亜高木層は広葉樹が発達し、ハリモミの稚樹はハリモミが優占する地点よりアカマツが優占する地点で多かった。また、全ての階層で遺伝的多様性の指数は同程度で、FISは0から有意にずれていなかった。

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