日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: P1B095
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動物部門
季節変化を考慮した、農地残存林におけるキタキツネの分布決定要因の把握
*矢部 敦子赤坂 卓美藪原 佑樹中村 太士
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抄録

 人と野生動物の軋轢を緩和するためには、対象動物の分布規定要因の把握が欠かせない。特に積雪が豊富な北海道においては、夏期と冬期で環境が激変するため、野生動物の分布は季節間で大きく異なると考えられる。
 本研究では、北海道十勝地方において、農業被害やエキノコックスの媒介者であるキタキツネ(Vulpes vulpes schrencki)を対象に、農地帯に散在する森林の森林タイプ(広葉樹林、湿性林、針葉樹林)や面積のほか、森林の連結性に着目し、本種の夏期と冬期の分布規定要因を明らかにした。調査地域内に設定した48地点の調査パッチに自動撮影カメラを設置し、夏期(2013年7月1日~10月30日)および冬期(2013年12月13日~2014年3月26日)のキタキツネの利用状況を記録した。結果、夏期171枚、冬期314枚の有効撮影枚数が得られた。夏期のキタキツネの撮影頻度は、連結性が高い森林で増加し、また広葉樹林、湿性林、針葉樹林の順に撮影頻度が高かった。一方で、冬期では小面積の森林で撮影頻度が増加し、湿性林、針葉樹林、広葉樹林の順に撮影頻度が高かった。この結果を踏まえ、本発表ではキタキツネの森林利用における季節的な違いについて議論する。

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© 2015 日本森林学会
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