戦後に植林された人工林が成熟し、これから本格的な主伐の時期を迎えようとしている。今後、主伐へ向けてこれからどのように山づくりを行っていくのか、指針を示すことが求められている。本報告においては、林分の成長と伐採・搬出コストをシミュレーションするモデルを利用して、どのような山づくりの方法がありえるのかを検討する。今回は短伐期皆伐施業(50年伐期)と長伐期皆伐施業(100年伐期)を比較の対象として、100年間で得られる収益の最大化を図るように、間伐強度および方法を最適化した。一方で、林業生産性のみを追求すると災害に対して脆弱であったり、多面的機能を大きく損なったりする可能性がある。よって、モデルによって推定される林分密度や林床光環境の時系列変化を指標としてそれぞれの施業方法を評価した。短伐期および長伐期施業ともに強度の上層間伐を長間隔で行う方式が最適となった。一方で、強度の上層間伐は大きな林冠ギャップを生じさせる、間伐間隔が長いため林床光環境が悪化するという欠点も明らかとなった。