樹木の形状比(樹高/胸高直径)は木材生産における形質だけでなく、気象害の受けやすさにも関係する重要な指標のひとつである。形状比は直径成長と樹高成長のバランスによって変化する。本研究はその直径と樹高の成長パターンの差異を明らかにすることを目的とする。調査対象は19年生スギ若齢林のなかの8個体とした。胸高直径はデンドロメーター、樹高は林冠に到達できる鉄塔を利用し、2013年1月から2014年12月までの2年間測定した。平均成長量(±標準偏差)は直径2.0 (±1.0) mm/年、樹高47.0(±14.9)cm/年であった。形状比平均値は2年間で77.2から81.7に増加した。2014年の直径は3月下順に成長を開始し5月上旬にピークとなり7月上旬でほぼ止まった。一方、樹高は5月中旬から伸長が始まり、6月中旬にピークとなりその後漸減し9月中旬でほぼ止まった。本調査期間では直径、伸長とも明確な秋季の成長はみられなかった。直径、伸長成長と初夏にピークがある季節変化を示したが、直径成長が伸長成長より約1ヶ月先行していた。19年生時の形状比は、年間では大きくなるが季節で変動した。