日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: D04
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造林部門
ニホンジカの生息密度が林道脇植生に及ぼす影響
*酒井 敦深田 英久渡辺 直史
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キーワード: 高知県, 指標種, 維管束植物
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抄録

全国的にニホンジカの分布域が広がっている中、拡大造林期に植林した人工林が主伐期を迎えている。林齢構成の平準化し、持続的な木材生産を確保するために、シカの生息域でも確実に皆伐・再造林を行うことが求められている。林道脇の植生からシカの生息密度を判定するため、植生の多様度とシカの生息密度の関係を求めた。高知県が実施しているシカ生息密度モニタリングサイト110か所のうち39か所を選定した。糞粒調査によるシカの生息密度は0~68頭/km2である。9月~10月にかけて面積4㎡の植生調査コドラートを1サイトにつき6個設置し、種ごとに植生高、植被面積を調査した。コドラート当たりの種数は10から61の間で、平均30.7種だったが、シカの生息密度との相関はなかった。シャノン・ウィナーの多様度指数H’を計算したところ、サイトのH’の平均値は1.96から3.61の間であり、シカの生息密度と負の相関関係が見られた。これはシカの生息密度が上がるにつれて特定の植物(シカの忌避植物)が優占し、多様度が低くなることを示している。忌避植物としてはイワヒメワラビ、ヒメワラビ、マツカゼソウ、タケニグサ、アケボノソウ、レモンエゴマなどがあった。

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