岐阜県今須地方などでは、小面積の集約的な持続的森林経営の一例として単木択伐人工林施業が行われてきた。現在では、原木販売形態の変化によって主伐が抑制され従来の林分構造が変質し、この経営方法の持続可能性を疑問視する報告がなされている。しかし、全国的に10齢級以上の森林が半分近くになり、「更新」を考えなければならない今日、皆伐-更新の低コスト化とともに、対極の単木択伐のオプションも用意して更新手段の多様化を維持することは価値がある。すなわち皆伐更新と同様に主伐の実行を前提に単木択伐更新を議論する意味はあるだろう。単層人工林を単木択伐型に移行することは不可能だろうか? 本発表ではこの問題について、葉分布構造をもとに議論する。
今須択伐林で、3Dレーザースキャンにより複層状態の三次元葉分布構造を明らかにし、下木の成長・生存との関係を解析し、単木択伐人工林の葉分布の構造と影響を報告する。また96年生のヒノキ単層林の毎木調査データから林冠構造を再現し、複数の単木択伐林移行へのシナリオごとに、林冠動態を予測して、求める林分構造の実現が可能かどうか評価する。
葉分布から見た「今須への道」は険しいのだろうか?