日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T13-06
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T13. 樹木根の成長と機能
高硝酸濃度土壌に生育するヒノキ林構成樹種の細根呼吸速度と形態特性
*宮谷 紘平虫明 瑞葵市川 康太谷川 東子平野 恭弘
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抄録

 演者らは東海地方のヒノキ (Chamaecyparis obtusa) 7林分において細根特性を評価し、土壌中硝酸態窒素濃度の高い幸田 (愛知) ではヒノキ細根系の呼吸速度、比根長(SRL; m g-1)、窒素濃度が他の調査地に比べ有意に高いことを明らかにしてきた。植物体中で窒素は生理機能に関係し呼吸速度や形態に影響するため、幸田に生育する他樹種の細根呼吸速度も同様に高いことが予想される。そこで本研究では高硝酸濃度土壌に生育するヒノキ林構成樹種細根の呼吸速度と形態特性を明らかにすることを目的とした。調査は幸田と比べ土壌中硝酸態窒素量が少なく、共通樹種が出現する美濃 (岐阜) で行った。ヒノキと出現頻度の高いアオキ (Aucuba japonica) を対象とし、細根の呼吸速度・形態・窒素濃度の測定を行った。
 細根呼吸速度と細根窒素濃度に関して、両樹種ともに幸田で美濃より高い傾向を示した。細根形態の指標の一つ、SRLは、両樹種とも幸田で美濃より高い傾向にあったが、アオキはヒノキと比べ調査地間の差が小さかった。以上より、高硝酸濃度土壌に生育するヒノキ林構成樹種の細根では、呼吸速度と細根窒素濃度が高くなるが、形態変化は樹種により異なることが示唆された。

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© 2015 日本森林学会
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