北海道の知床半島ではヒグマに関係した野生動物管理が行われており、その一環として利用者に対する軋轢緩和を目的とした情報提供を行っている。このような情報提供の課題の一つとして、必要とする利用者に適切な情報を伝えられていないことが挙げられている。本研究では、利用者がグループ分けできることを前提に、注意すべきグループを特定する。アンケート調査への回答に基づき、利用者は2つのグループに分け、その一方を管理上注意すべきグループとして特定した。このグループにはヒグマを頻繁に見ることができる場所に興味を持っている利用者が多く、加えてヒグマが危険であることを知っていたと回答した利用者が少なかった。ヒグマの危険性を知らずに興味本位でヒグマに接近する可能性が高い注意すべきグループであると言える。このグループに特徴的な個人属性(年齢や性別など)は明らかにならなかったが、登山目的の利用者が比較的多く含まれていたことから、登山者への情報提供を強化することで軋轢を緩和できる可能性がある。