日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T23-10
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観光とレクリエーション
スウェーデンにおける野外活動の展開と万人権:その意義と課題
*三俣 学齋藤 暖生嶋田 大作
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抄録

【はじめに】
本報告は、所有形態の如何を問わず、万人が森林や水辺に立ち入り自然の恵みを享受できるスウェーデンの慣習(万人権:allemansratten)に着目し、その変容過程を明らかにする。
【研究の方法】 英米語で書かれた関連論文等などの文献考証を主とする。
【スウェーデンにおける野外活動と万人権の相互関連】
(1)慣習に根差す社会基盤:すべての人は自然の恵みを享受し生命を維持しうる、というサブシステンス的な考えや慣習が古くから存在した。
(2)近現代における野外活動:19世紀以降に急進する都市化、それに対応する労働や余暇等に関する諸政策により、万人権を背景とする野外活動は、大規模レジャースポーツなどを含む多様な内容へと変容した。
(3)コンフリクト回避:その変容過程にあって、万人権が私的所有権と対立する機会の増加に懸念が高まりつつある。この状況を受け、スポーツイベント企画者や競技者等に対し、土地所有者との事前協議などを奨励するなど、コンフリクト回避策が本格的に展開され始めている。
【おわりに】
利用者らがコンフリクトを抑え資源の共同利用を可能にする仕組みの解明は、これまでの資源管理論にも大きな示唆を与えるだろう。

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