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第126回日本森林学会大会
セッションID: F05
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針葉樹2種のポット苗における水ストレス下での通水阻害域の空間分布
*梅林 利弘福田 健二
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抄録

水ストレスは植物の分布を決定づける要因の一つである。これまで切り枝を対象にした木部通水性に基づく調査が数多くなされているが、切り口由来のアーティファクトな通水阻害域の発生に伴う通水性の低下が懸念されている。木部水分を非破壊的に可視化し、水ストレスに伴う通水阻害域の拡大をモニタリングする研究がこの問題を解決する上で必要である。本研究ではスギとクロマツのポット苗を対象にコンパクトMRIを用いて渇水ストレスに伴う木部水分の損失状況について調査を行った。試験開始前において、2種とも樹皮側は大半が通水域であったが、接線方向に広がる通水阻害域も認められた。また、スギでは髄側で通水阻害域が広範囲で認められた個体があり、クロマツではいずれの個体もほとんど認められなかった。灌水停止後、2種とも髄側の木部では通水阻害域が急増したが、樹皮側の木部では緩やかに増加した。2種における新たな通水阻害域の発生はその大半が既におきていた通水阻害域から認められた。以上のことから、ポット苗の渇水ストレスにともなう通水阻害域の拡大は、ポット苗作成時や成長段階で引き起こされた既存の通水阻害域から引き起こされることが考えられた。

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