コマクサの計画的な保護活動を行なう上で分布状況の把握は重要な意味を持つ。しかし、コマクサの分布する高山における植生調査は平地と比較して非常に難しく,コマクサ群落分布状況を包括的に把握することは困難であり、攪乱に弱い高山植物にとって植生調査が致命的なダメージとなる可能性も懸念される。そこで,省力的かつ非破壊に広範囲の群落解析を行える手法として,リモートセンシング技術の活用が考えられた。本研究では,可視域カメラと近赤外カメラを用いて,画像解析によるコマクサの個体数把握を試みた。長野県乗鞍岳高天原を調査対象地とした。高天原は,標高約2800mの風衝地帯で土壌は火山性の砂礫で覆われており、約4haに渡りコマクサの大群落が広がっている。調査地に1m×1mのプロットを複数配置し、プロット毎にコマクサの植生図を作成した。さらに,プロットに対し高さ2mの地点から群落の撮影を行い,プロット画像を取得した。撮影した画像で教師付きピクセルベース分類を行ない,分類画像を作成した後,コマクサの株ポリゴン図を作成し、株数を検出した。検出した株数と実測株数を比較することで各画像の株数検出精度を算出,考察を行なった。