日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: T26-10
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森林生態系の放射性セシウム汚染とその対策
ポット実験によるスギ苗木の放射性セシウム吸収の検討
*平井 敬三長倉 淳子小松 雅史山中 高史赤間 亮夫
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キーワード: カリウム, スギ, 苗木
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抄録

森林や林業の再生にむけ、新たな植栽木への放射性物質の移行・吸収の有無やそのメカニズムの解明が必要である。本研究ではその第一歩として、その動態を検討した。森林総研構内苗畑B層の20-50cm深から採取した土壌(11 Bq kg-1)を1/5000aワグネルポットに充填し、事故による放射性物質放出の影響が無い九州産のスギ実生苗を植栽した。放射性セシウム濃度が異なる2地点から採取したスギリターF層(高:3392、低:1917 Bq kg-1)を粗粉砕し土壌表面に置いた。吸収抑制効果検討のためNPK施用区とNP施用区の二つの処理区を設けた。適宜灌水し1生育期終了後、成長量を測定し器官別の植物試料と深度別の土壌試料の放射性セシウム濃度を測定した。リター分解にともない移動した放射性セシウムは土壌の5cm深までにとどまっていた。当年葉のCs137濃度は4-19Bq kg-1と低濃度で、特にK施肥区では4/5の試料で検出限界以下であったが、高濃度のリターを置いた区の方が低濃度区よりもCs137濃度は低い傾向にあった。リターを基準に求めた当年葉の移行係数は10-3-10-2と小さいが、リターと土壌の加重平均濃度を基準にすると1オーダー高い値となった。

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© 2015 日本森林学会
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