日本森林学会大会発表データベース
第126回日本森林学会大会
セッションID: F10
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岐阜大学高山試験地の常緑針葉樹林フラックスサイトにおけるスギ個葉光合成の季節変化
*小林 元蔵屋 諒丞吉竹 晋平斎藤 琢安江 恒
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抄録

岐阜大学流域圏科学研究センター高山試験地の常緑針葉樹林フラックスサイトにおいて,樹齢40~50年,樹高約20mのスギ針葉の光合成速度を1年間測定した。光合成速度は10月から12月にかけて低下した。その後4月に増加した後,展葉期の5月初旬に一時低下し,その後9月まで4~5μmolCO2m-2s-1の値を示した。10月以降,光合成速度は再び低下した。光合成速度は8月に一時的に3μmolCO2m-2s-1近くまで低下した。気孔コンダクタンスは光合成速度とほぼ同じ季節変化を示した。Ci/Caは5月から9月にかけて0.5前後の低い値を示した。今回測定された光合成の値は,既存のデータと比べると低かった。一方で,Ci/Caも低い値を示したことから,本調査地のスギの光合成速度が低い原因として,気孔閉鎖が挙げられる。光合成好適期間中の長期にわたって気孔が閉じ気味であった詳細な理由はわからないが,8月には大気飽差が一時的に3.5kPaを超えたことから,このときの光合成速度の低下は大気乾燥の影響によるものと考えられる。今後,光合成速度を継続して測定し,2014年に長期にわたって観測されたCi/Caの低下が,2015年以降も発生するかどうか確認する必要がある。

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© 2015 日本森林学会
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