林業経営統計調査(農林水産省統計部)の結果のうち1ha当たり林齢別樹種別林業経営費(育林費)は、人工林経営の採算性を示す基礎資料であるが、その最近の変化と内容を検討した。直近の平成25年度調査では、すぎの育林費1~50年生計は121万円・ひのきは272万円で、20年度からそれぞれ48%減・14%減であった。費目別には労働費の減少が大きく、減価償却費は増加傾向、物件税・公課諸負担は減少した。構成比で見ると大きな変動はなく、労働費+請負わせ料金が6割から5割へ減少した程度であった。林齢別には6年生以上で多くの費目が減少し、1~5年生の割合が5割台から9割を占めるに至った。いっぽう、経営体の集計結果から試算した育林施業面積当たりの労賃と投下労働時間には若干の低下が見られた。これらの分析を踏まえ、育林費低下をどう捉えられるか検討を報告する。なお、同調査は標本調査であり、特に若齢林では集計数が少ないことに留意が必要である。