近年、自伐林業が小規模・環境保全型、地域振興、新たなライフスタイルとして見直す動きがある。その中でも山林を所有しないが、所有者から林地を借り、自ら施業をする自営林業へ参入する事例がある。現在、この自営林業者の施業現場確保や収入などの労働実態が明らかになっていない。そこで、本研究では、高知県本山町に地域おこし協力隊として、Iターンで自営林業へ参入した3名と本山町役場、本山町森林組合に対面調査を実施した。調査の結果、作業現場確保について、所有者に施業による売り上げの一部を還元する実績を上げたことで所有者から施業を依頼されるようになり、現在は現場確保には困らない状況であることや、収入については現場ごとに土地条件が異なるため、収入が不安定であることが課題であり、林業以外に地域おこし事業やアルバイトなど副業が必要なこと、今後、1名は木を活かした自営複合の意向があることがあることが明らかとなった。また、森林組合としては自営林業を歓迎しており、作業の再委託を要請するなど関係は良好であった。森林組合や林業事業体と競合することなく、施業現場が確保できることが新規参入の成立条件であると考えられる。