日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: P1-256
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学術講演集原稿
福島県のスギ林、アカマツ林、広葉樹林における放射性Csの挙動の違い
*林 愛佳音竹中 千里富岡 利恵金指 努原 竜弥
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キーワード: 放射性Cs, 土壌, 植生
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抄録

2011年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故により、放射性核種が大量に放出された。放出された放射性 Cs の多くは森林に沈着し、その一部は土壌に不均一に存在している。今後の森林の除染や森林利用を計画する上で、土壌中の放射性Csの挙動推定は重要な課題である。森林土壌における放射性 Csの動態に影響を与える要因の一つに植生の違いが挙げられるが、その詳細に関する知見は少ない。そこで本研究では、放射性Csの挙動に植生の違いが与える影響を明らかにすることを目的とし、福島県川俣町山木屋地区世戸八山の隣接したスギ林、アカマツ林、広葉樹林の3林分を対象に、リターおよび土壌中の放射性 Csの存在量や動態について調べた。本研究対象地は、植生以外の環境条件はほぼ同じと考えられる。今回は、各林分における単位面積あたりの放射性Cs沈着量、土壌のC/N比、リターへの吸着、化学形態の違いに焦点をあてた。結果より、スギ林における放射性Cs沈着量はアカマツ林や広葉樹林よりも多いことが明らかになった。またリターの形状や分解速度の違いにより、リターから土壌への移行過程において違いが生じることが示唆された。

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