福島原発事故で森林にもたらされた放射性Csのほとんどは、堆積有機物層(A0層)と表層土壌に存在していることから、A0層と土壌の137Csの分布状況について検討した。森林総研がこれまで行ってきたA0層(25×25cm全量採取)と土壌(高さ5cmの採土円筒によって0-20cmの土壌を採取)の調査に加えて、スクレーパー法(15×30cm枠内の0-10cmの土壌を1cm毎に採取)による調査を行った。調査は2013年8月に川内村の川内ヒノキ林(KH)、川内コナラ林(KK)、上川内スギ林(KKS)と大玉村の大玉スギ林(OS)、大玉アカマツ林(OA)、大玉コナラ林(OK)で行った。A0層と土壌(0-20cm)の137Cs蓄積量を比べると、川内村の3プロット(KH、KK、KKS)は土壌よりA0層の蓄積量が大きかったのに対して、大玉村の3プロット(OS、OA、OK)ではA0層より土壌の蓄積量が大きく、川内村と大玉村では分布に違いが認められた。土壌の容積重を標準化(1.0に調整)して比較したところ、137Cs全蓄積量に対する最表層(0-2cm)の割合は、KK、KKS、OS、OKでは概ね80%以上であったのに対して、KH、OAは60%以下と、プロットによって土壌への浸透に違いがみられた。