日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: C7
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学術講演集原稿
研究用ソフトウェアを用いた中学校林業実習の提案
*柏倉 美沙東原 貴志井上 真理子
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抄録

本研究では、林業教育の実践が少ない中学校を対象に、技術・家庭科で林業に触れる体験的な実習の授業案を作成した。技術分野「C生物育成に関する技術」では、生徒が自分の考えを整理し、目的や条件に応じた育成計画を立てる能力の育成をねらいとしている。中学生を対象に、人工林での測樹、間伐実習、研究用ソフトウェアを用いた測樹データの描画と間伐の将来予測を行った。授業案作成にあたり、学内の比較的平坦な43年生スギ人工林内において20m×20mの調査区を設置し、立木の位置、樹高および胸高直径を計測した。中学生は収穫表作成システムを用いて得られたデータから森林の間伐の時期、方法、強度を変え、様々な場合の総収穫量を予測した。その結果、10年ごとに上層間伐を20%ずつ行うと、1度も間伐をしなかった場合より総収穫量が高くなり、材価が高くなる事や、管理を放棄するとスギの巨木が残ることが予想できた。中学生はそれらの予測を踏まえて、今後の人工林のあり方について木材生産以外の活用方法も含めて自由に考え、発表することができた。測樹やシミュレーションソフトの操作方法は比較的容易であり、「C生物育成に関する技術」のねらいも達成する事ができた。

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