日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: P2-160
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学術講演集原稿
シギゾウムシ幼虫の脱出口がマテバシイ堅果への菌類や他の種子食性昆虫の加害に及ぼす影響
*曽根 晃一大石 圭太畑 邦彦
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抄録

シギゾウムシ類の幼虫の脱出口の菌類や他の種子食性昆虫の侵入に対する影響を明らかにするため、2015年4月に、健全堅果、シイシギゾウムシが加害した堅果(虫食い堅果)、人工的に穴を開けた堅果(人工加害堅果)を林内に埋め、11月に菌類やドングリキクイムシ(キクイ)のアタックと堅果の状態を調査した。健全堅果は44%が発芽し、そのうちの約6割にキクイが侵入していた。発芽した堅果に菌類が侵入したものは見られなかった。虫食い堅果の発芽率は9%で、キクイが生息していた個体はなかった。新梢が伸長した堅果を除いて、子葉が健全な個体はほとんどなかった。人工加害堅果では67%が発芽した。発芽堅果の16%、未発芽堅果の5%でキクイの、発芽堅果の3%、未発芽堅果の8%でガ類の幼虫が確認された。キクイは頂端の割れ部のほかに、横や殻斗に覆われていた部分や人工穴から、ガの幼虫は人工穴と頂端の割れ部から堅果内部に侵入していた。人工穴の周辺では、子葉の変質や腐敗が見られた。シギゾウムシ類幼虫の脱出口は、他の種子食性昆虫や菌類の侵入の糸口となり、堅果の発芽率をさらに低下させることが明らかになった。

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