日本森林学会大会発表データベース
第127回日本森林学会大会
セッションID: P2-159
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学術講演集原稿
コウライナガキクイムシ(仮和名)Platypus koryoensis の新しい分布の記録と生態
*後藤 秀章上田 明良長尾 嘉昭𠮷光 政文
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抄録

Platypus koryoensis コウライナガキクイムシ(仮和名、以下コウライ))は、韓国でモンゴリナラの集団枯損を引き起こす病原菌の媒介者であり、国内では大分県由布市の老齢コナラ林のみで確認されてきた。99%エタノールを誘引剤とした衝突版トラップを大分県宇佐市と九重町のコナラ・クヌギ若齢林に設置した結果、宇佐市で2個体、九重町で4個体のコウライが採集された。また宇佐市の試験地にコナラとクヌギの丸太を設置した結果、コナラで18個、クヌギで2個の本種による穿入孔が見つかった。穿入された最小の丸太は、直径6.5cmであった。この丸太を割材したところ、コナラの17個、クヌギの1個の孔道から終齢幼虫が採集された。宇佐市の試験地の毎木調査の結果、出現したコナラ283本の12.7%が、当年にコウライによる穿入を受けていた。一方でクヌギに当年の穿入はなかった。このように由布市以外でも本種の分布が確認でき、またコナラ立木は高い確率で穿入され、丸太はシイタケ原木となるサイズ全体で穿入を受けた。さらに多くは繁殖に成功していたため、コナラ丸太の移動はコウライの分布を広げる可能性が高く、注意が必要と考えられる。

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