抄録
デジタル化の技術発達が著しい中で、近年は、専門家でなくとも容易に動画を撮影・編集し、youtubeといった媒体で作品を公開することが可能となってきた。映像資料の学術的な利用については、昭和の初期から、アチック・ミューゼアムを設立した澁澤敬三や、宮本馨太郎らによって収集が行なわれ、戦後も、民族文化映像研究所(民映研)などによって蓄積されてきた。学問のディシプリンとして、映像民俗学や映像人類学といった分野も確立されてきている。しかしながら、動画の一般的な普及として比して、学術研究における動画利用は、必ずしも十分進んできていない。これは、森林・林業を総合的に扱いつつ、国民や人類の生活・文化の向上に貢献することを謳う当学会においても同様な状況である。人文科学や社会科学の視点に立っていえば、山村生活や林業技術を含む生業のあり方を映像で記録し、学術論文として公開することは、文字資料として論文を書くことと同等に重要なことと考えられる。本報告では、筆者が撮影した研究映像を紹介しながら、映像資料を用いた林学研究の可能性をも考察する。なお本研究はJSPS科研費26570031の助成を受けたものである。