日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: P1-204
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学術講演集原稿
プレッシャーチャンバー法を用いたヒノキ根の水分特性の測定
*井上 直樹小杉 緑子東 若菜吉村 謙一鶴田 健二鎌倉 真依
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抄録

 樹木にとって根は水を取り入れるための重要な器官であり、その吸水プロセスについて考えることは生理学的な生存戦略を理解する上で重要である。本研究では、ヒノキの根の吸水に関する特性を実測的に明らかにするため、滋賀県南部の桐生水文試験地ヒノキ林において、土壌表層から採取した細根の日中の水ポテンシャルを、プレッシャーチャンバー法を用いて2016年6月から翌年1月までの間に10回観測するとともに、細根サンプルの水ポテンシャルと相対含水率の関係(水分特性曲線)を測定した。その際の手法についても検討を行った。日中の細根の水ポテンシャルの各日平均値(n=3~10)は-0.01~-0.22MPaであり、葉(n=3~9、-0.56~-1.39MPa)に比べかなり高く、土壌水ポテンシャルの変化(-0.00~-0.04MPa)と対応して変動した。水分特性曲線の比較では、根は葉に比べて飽水時の浸透ポテンシャルは高く、しおれ点時の相対含水率は低く、膨圧の低下に対する相対含水率の低下割合は大きかった。これらの結果から、根は葉よりも吸水に対する浸透ポテンシャルの寄与が小さく、水ポテンシャル変化の小さい範囲で多くの水を吸収する特性をもつと考えられる。

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© 2017 日本森林学会
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