日本森林学会大会発表データベース
第128回日本森林学会大会
セッションID: P1-208
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学術講演集原稿
南米半乾燥地原産マメ科3樹種の乾燥に対する成長と葉の水分生理
*井上 裕太玉井 重信山本 福壽山中 典和田中 憲蔵市栄 智明
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抄録

ブラジルの半乾燥熱帯において、緑化目的で導入されたマメ科のProsopis julifloraは侵略性が高く、在来種のMimosa hostilisMimosa verrucosaとの競合が問題となっている。これら3種のポット苗の水分条件を3段階(対照区:-0.005MPa, 乾燥処理区:-0.01MPa, -0.1MPa)で制御して、水分ストレスに対する順応機構の違いを調べた。その結果、P. julifloraは乾燥処理区において、耐乾性の指標である吸水限界時の水ポテンシャル(πtlp)がMimosa属2種よりも有意に低い値を示したため、最も高い耐乾性を持つと思われた。3樹種の対照区に対する相対樹高は、耐乾性が最も高かったP. julifloraMimosa属2種よりも高く、乾燥ストレス下でも成長量を維持した。さらに、実験期間における1ヶ月間の蒸散量もP. julifloraの方がMimosa属2種よりも低かった。これらの結果から、P. julifloraは高い乾燥耐性と低い水消費により、乾燥環境下における在来種との競合に有利であることが示唆された。

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© 2017 日本森林学会
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