主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第128回日本森林学会大会
回次: 128
開催地: 鹿児島県鹿児島市(主に鹿児島大学郡元キャンパス)
開催日: 2017/03/26 - 2017/03/29
個葉の蒸散速度の時空間変化は樹木の水利用特性の理解に役立つが、調査に労力がかかるため、サンプル数が限られる欠点がある。その一方で、個体の蒸散量推定によく使用される樹液流計測は、多くの個体を対象に長期連続測定が可能という、個葉とは対照的な特徴をもつ。個体蒸散量から個葉の蒸散速度を推定(ダウンスケーリング)できれば、個葉レベルでも時空間変化の詳細な評価が可能になると考えた。 個体から個葉へのダウンスケーリングには、樹液流に加えて、個体の葉面積と内部光環境の空間分布情報が必要となる。ところが、葉面積の空間分布は、1m間隔の葉層など、単純に表現されることが多く、推定結果の精度が低い問題があった。また、詳細に表現した場合でも、モデルの複雑化によってパラメーター推定ができなくなる問題があった。 近年、高分解能レーザースキャナーが普及し、葉面積の3次元分布を少ない労力で詳細に調査可能になった。また、ベイズ統計とMCMCアルゴリズムを利用することで、複雑なモデルでもパラメーター推定が可能になりつつある。本研究は、この2つを利用して個体から個葉へのダウンスケーリングを試みた。