主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第129回日本森林学会大会
回次: 129
開催地: 高知県高知市(主に高知大学朝倉キャンパス; 3/26は高知県立県民文化ホール)
開催日: 2018/03/26 - 2018/03/29
林床に密生するササ類の一斉開花・枯死は林床の環境を大きく変化させるため、樹木の更新を促す重要な役割を持つと考えられる。そのようなササ類の一つであるスズタケの一斉開花・枯死現象が2016年(前咲き年)から2017年(本開花・枯死)にかけて愛知県設楽郡・段戸山一帯にて確認された。そこで、段戸国有林のモミ・ツガ天然林に設置された0.6ha調査区において、林内環境(ササの繁茂および開花・結実状況・林床の開空度・野鼠密度・リターフォール量)と実生群集の調査を継続的に実施した。2017年、約88%の稈で開花が認められ、約2200個/㎡の種子が生産された。林床の開空度は、調査期間の着葉期間中で増加した。スズタケ種子を餌資源としての増加が予想されていた野鼠密度は、予想に反して減少した。2016年秋の実生群集と比べて、2017年秋では種数・個体数ともにより多くの木本実生が確認されたことにくわえ、スズタケの当年生実生の出現が確認された。スズタケ枯死に伴う光環境の好転により、木本実生の定着が促進されたことが伺えるものの、今後さらに実生群集やスズタケ実生、野鼠密度の推移を注意深く観察する必要がある。