日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: A15
会議情報

学術講演集原稿
2000年代の森林法制度と森林所有者
*大塚 生美
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

2018年に成立した森林経営管理法は、わが国の林業構造全体,とりわけ川上の森林管理に大きな変革をもたらす可能性を有す法案である。ビジネスとして成立しない森林は、市町村が経営主体となる(仮称)森林環境譲与税が用意されるが、林野庁では、施行後の実態を鑑み内容を充実させていくという未知の因子が残る制度設計になっている。だが,新たな法制度ならびに2016年の森林法改正に伴う林地台帳整備,その整備にともなう個人情報の取扱い等に関する議論は極めて少なく、林業経営、森林政策を専門とする研究分野においてさえ同様である。最も影響を受ける森林所有者の中には,2001年の林業基本法改正以降、林政審議会をはじめとする議論の場において蚊帳の外に置かれていると感じている所有者もいる。国や地方自治体の政策決定に森林所有者の意向がどれだけ反映されているか、まったくといって良いほど見えてこない。そこで、わが国の林政が大きな変革期を迎えようとしているという現状認識に立ち、森林所有者ならびに新たな法律の主たる受け皿となる市町村の行政担当者、実行部隊の中心的役割を担うであろう森林組合との意見交換から,新法への対応の一端を報告したい。

著者関連情報
© 2019 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top