日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: J5
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学術講演集原稿
スコリア堆積地の防災対策における地域住民の取り組み
*田中 賢治木村 佳嗣前田 修
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抄録

【はじめに】300年前の富士山の噴火によってスコリア(岩滓)が厚く(深さで10m)堆積した静岡県小山町の森林では,2010年の台風9号の異常な集中豪雨によって,森林内に堆積しているスコリア層に介在する粘性を持った粒子の細かい火山灰層が流亡して急激に粘着力が低下した。この粘着力の低下によって勾配の緩急に関係なく,スコリアの流出が始まり,人家,国道,ゴルフ場が埋まるなどの被害が発生している。被害区域については,須走地区の森林周辺の1千ヘクタールに及んでおり,町では緊急雇用による木柵やスコリアを利用した土嚢の設置などの流出対策を試験的に講じている。【報告内容】今回の事例では,地域の住民参加によって厚く堆積したスコリア(岩滓)の移動によって根系の緊縛力が弱っている林分に対して,立木の土砂を補足する機能を補強する目的で高強度ネットを利用することによって,土砂流出(スコリア)の流出を抑え,災害に強い林分となるように森林の公益的機能を拡充する防災対策を行った事例について報告する。

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