主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第130回日本森林学会大会
回次: 130
開催地: 新潟県新潟市 新潟コンベンションセンター「朱鷺メッセ」
開催日: 2019/03/20 - 2019/03/23
近年、大規模な自然災害が多数発生しており、森林災害を含むリスクの管理がますます重要となっている。森林保険は気象害、火災、噴火災への対応のひとつとして挙げられる。本研究では、大規模社有林において認識されているリスクとそれに対する管理の在りよう、対応としての森林保険を調査し、リスクマネジメントの実態や森林保険の位置づけを把握することを目的とした。研究対象については、日本国内に数万ha規模で森林を所有する4社の社有林とし、森林保険の運用を行う森林保険センターや愛媛県等の森林組合連合会等を含めて聞き取り調査を行った。併せてメールによる追加調査も行った。その結果、大規模社有林におけるリスクには、森林そのものに被害が及ぶ自然リスクと社会現象や経済状況に伴う社会リスクとがあり、自然リスクとして森林保険対象のリスクに加えて林道崩壊と獣虫害が挙げられた。一方、社会リスクには労働災害、高齢化や担い手不足等の人員が重要視されていた。社有林における日頃の見回り等により一定のリスクマネジメントを行っているが、それではカバーしきれないリスクも少なくなく、企業独自での対応や対策に加えて社会的な対応も必要と考えられる。