日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: P1-145
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学術講演集原稿
六甲山の森林林縁部において林内雨で供給される無機態窒素の組成および量
*福島 慶太郎堅田 元喜山口 高志堀江 洋佑平木 隆年
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キーワード: 窒素沈着, 林内雨, 林縁, 霧沈着
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抄録

森林への正味の窒素流入は主として林内雨によってもたらされ,湿性沈着に加えて樹冠等に乾性沈着した窒素化合物も降雨時に洗脱され,土壌へと供給される。また,霧が発生しやすい地域では霧水沈着も無視できない。乾性沈着や霧水沈着は,森林の林縁部ほど影響が大きいとされるが,この影響の程度と林内雨による窒素流入量や無機態窒素の組成(硝酸態窒素・アンモニア態窒素の割合)との関係については十分把握されていない。本研究では兵庫県の六甲山内のスギ林の林縁・林内に18個の林内雨回収容器を,露場に林外雨および霧水採取器を1つずつ設置し,水量と水質を測定した。霧水には林外雨の10-20倍の硝酸態・アンモニア態窒素濃度が含まれていた。観測期間中の林内雨による窒素流入量は,地点間で最大15倍の差があり,林縁で高い傾向が認められた。夏季は南側,冬季では北側の林縁ほど流入量が多く,水同位体の結果から夏季には霧水沈着の影響も示唆された。以上のことから,林内雨での窒素流入の空間分布は気象環境に強く依存するものと考えられた。

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