主催: 一般社団法人日本森林学会
会議名: 第130回日本森林学会大会
回次: 130
開催地: 新潟県新潟市 新潟コンベンションセンター「朱鷺メッセ」
開催日: 2019/03/20 - 2019/03/23
樹木細根の季節動態の解明は森林生態系の構造や機能を理解する上で不可欠である。細根の分岐位置で類別する次数分類に着目した先行研究では、広葉樹において細根形態の季節変動は顕著でないこと、一方、細根の窒素濃度には季節変動が認められるもののその傾向は樹種により異なることが報告されている。しかし、針葉樹に関する細根次数特性の季節動態の知見は限られており、国内主要人工林樹種であるスギについては未だ報告例がない。本研究ではスギの細根特性の季節動態を明らかにすることを目的とし、形態特性および化学特性を次数別に調べた。 2016年9月から2017年6月にかけて約3か月おきに関西中部地域の54~69年生スギ4林分において計20個体から4次根までの細根系を各個体4~6根系採取した。細根系は分岐位置で切断し、根直径や根長などの形態特性および全炭素や全窒素などの化学特性を次数別に測定した。その結果、最末端根である1次根の直径や窒素濃度に有意な季節間差がみられ、夏から秋に向けて直径が小さく窒素濃度は高い、すなわち養分吸収能の高い根系を形成していることが示唆された。これらの季節変動について広葉樹と比較しつつ考察する。