日本森林学会大会発表データベース
第130回日本森林学会大会
セッションID: S11-2
会議情報

学術講演集原稿
日本の森林遺伝学及び分子生態学分野の成り立ちから現在まで
*津村 義彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

我が国で樹木の森林遺伝学や分子生態学的研究が始まったのはアイソザイム分析が使われ始めた1970年代だと考えられる。それまでは葉形の形質や色素変異などの形態形質での評価や比較しか行っていなかったため、主に個体間での形態の違いや特定形質の遺伝性の調査が主に行われていた。その後にアイソザイム分析が普及し遺伝的多様性や遺伝的分化等の研究が盛んに行われてきた。DNAマーカーを用いた研究は1980年代から始まっていたが、サザンハイブリダイゼイション法を用いるため多くの労力と時間が必要であった。1990年代になり、PCRベースのDNAマーカーが主流となりCAPS、SSCP、RAPD、ISSR、AFLPなど様々なDNAマーカーが開発され、集団遺伝、連鎖地図構築などに利用されるようになった。2000年以降になるとNGS法の開発により数千以上のSNPが一度に検出でき、特定形質に関連するDNA変異や環境適応的なDNA変異も検出できるようになってきた。現在はNGS法で得られる膨大なデータとデータ解析手法の発達により,より高度な解析が可能となってきている。本講演ではこれまでの森林遺伝学及び分子生態学分野の成り立ちから今後の課題についての話題提供を行う。

著者関連情報
© 2019 日本森林学会
前の記事 次の記事
feedback
Top