日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: L7
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学術講演集原稿
マツノザイセンチュウ近縁2種の便乗型成虫のカミキリムシへの乗り移り
*小澤 壮太前原 紀敏神崎 菜摘相川 拓也中村 克典
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抄録

マツノザイセンチュウ近縁種群は分散型第4期幼虫という休眠ステージで昆虫に運ばれるが、そのうちの2種Bursaphelenchus douiB. luxuriosaeは便乗型成虫という特殊な便乗ステージをもつ。便乗型成虫の便乗生態やその生活環における位置づけを明らかにするために、それぞれの線虫の媒介者であるビロウドカミキリ及びセンノカミキリを使って、線虫がカミキリムシへ乗り移る部位の特定および便乗型成虫の発育状況の観察を試みた。寒天培地を用いた人工蛹室で線虫とカミキリムシ蛹を共存させて羽化した成虫を解剖したところ、気管から便乗型成虫が分離され、さらに少数のビロウドカミキリでは便乗型成虫が生殖器官にも入り込んでいた。B. luxuriosaeの便乗型成虫の発育状況について、スライドグラス上に雌または雄を1頭ずつ置いた観察では8~10日後までに脱皮は見られず、雌雄各10頭を同一シャーレで維持したところ5日後には複数個の卵と孵化幼虫が確認されたが、ここでも便乗型成虫が脱皮した形跡はなかった。以上の結果から、便乗型成虫は昆虫への便乗ステージであるとともに増殖能力ももつことが示唆された。

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