日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: S4-8
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学術講演集原稿
環境譲与税と市町村の対応-岩手県を事例として
*大塚 生美
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抄録

森林環境譲与税は,新たな森林管理システムを具体化する財源の一つとして,市町村にその使途の権限が委ねられている。その譲与額基準は,人口,私有林人工林面積,林業労働者数にある。筆者らの神奈川県を対象とした環境譲与税の使途に関わる研究では,木材利用が圧倒的に多くを占めた。そこで次に、人口減少や過疎が進む中,年間総素材生産量が全国3位に位置する岩手県を調査対象とし,地方における森林環境譲与税の使途の特徴,ならびに課題を分析することとした。岩手県への聞取り調査では,市町村からの相談で上位を占めるものに森林所有者の意向調査があげられた。このため,本報告では、使途全般と同時に,意向調査の現状に接近する。ところで,神奈川県では,森林所有者の意向調査にふれたのは1市町村にとどまった。使途の一例をみても,首都圏と地方には大きな開きがある。両者の相互作用の結果として森林整備目標を達成することができるのかどうか,また課題は何かが本研究の最終的な目標になる。なお,岩手県では市町村への支援強化を目的として,各広域振興局に専門職員を配置し、市町村の業務を支援する事業も用意したが,応募者が少ないという課題も抱えている。

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