日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: A4
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学術講演集原稿
戦時中の鳥取県旧大山村における民有林非常伐採計画の事例
*小林 正紘芳賀 大地
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抄録

太平洋戦争末期、戦況の悪化により物資や兵器の不足が深刻となり、木材についても統制の体制が強化された。昭和19年の山林局による民有林非常伐採計画樹立要綱では、各都道府県の市町村長または森林組合長による当該地域の民有林の伐採可能林分立木調査や伐採計画編成が定められた。これを受け鳥取県大山町の旧大山村では立木調査や伐採計画編成が行われ、関係書類をまとめた文書が作成された。当文書の中には19~21年度の3ヵ年伐採可能林分調査報告書、19・20年度の伐採計画書と伐採指定書、21年度の用材・薪材・炭材の伐採可能林分調査報告書が記載されている。これらの立木材積、樹種、伐採便否、径級の項目の各データを年度別や段階別に比較して変化を分析し、旧大山村に関する情報を加味して考察した。結果、伐採予定の樹種の大部分はマツであり、19~21年度はそれぞれ搬出が容易な林分から順に伐採が予定されていた。航空機用材や坑木の短期的増産を目的としていたことが背景にあったと推察される。伐採林分数や伐採可能林分材積は年度ごとに大きく変動しており、計画の保続性は低かった。同年度の計画も調査時期によって大きく変化しており、調査の安定性も低かった。

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