1971年に全線開通した立山ルートは中部山岳国立公園の国有林内にあり、工事に伴う緑化には現地産の植物種苗のみを用いることとされた。これを受け亜高山帯の道路沿線に発生した50箇所、計約5haの荒廃地はミヤマハンノキを肥料木とする緑化が進められた。施工後半世紀近くが経過し、多くの地点で林床が周囲の植生から侵入したササ類等で被覆されるなど、当初の目標であった初期植生定着の完了が確認され、ミヤマハンノキが亜高山帯での一次緑化植物として十分に機能を果たしたことが分かった。その一方でミヤマハンノキは想定外の樹高に成長し、本来、草原であった景観を変貌させ、車輛運行の安全面でも問題が指摘されるなど、除伐を進める必要性が認められるようになった。そこで関係諸機関の緩やかな連携により緑化地の一つ(約0.1ha)において試験的な除伐を行ったところ、景観、安全面ともに改善が確認された。さらに植生誘導のモニタリングのため固定調査区を設定した。この経験から目標の完了まで長期にわたる管理が必要な亜高山・高山帯における緑化計画にはその地域の管理・運営に関わる諸機関の間での不断の情報共有を担保することが不可欠であることが示された。