日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: P1-218
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学術講演集原稿
山地流域における基底流量の分布と流域地形的特性:災害時水源活用への検討
*猪越 翔大邱 湞瑋小柳 賢太五味 高志恩田 裕一浅井 和由
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抄録

災害時における水の確保は重要な課題である。中山間地での災害時生活用水源としては、適切量の河川水を確保できる場の条件や水量の安定性の評価が重要となる。本研究では山地河川における流量分布およびその流域地形特性(流域面積、比高差)、水量の安定性の検討を行った。岐阜県揖斐川町と池田町に位置する標高60〜930mの堆積岩流域を対象とした。59箇所の流域面積2.0x10-2〜352.7haの河川を対象として調査を行い、32箇所は流量0〜9361m3/日の河川、8箇所は流量2~428m3/日の湧水、19箇所の流量のない河川を確認した。流域面積>40ha、比高差>500mの流域は流量>1000m3/日と比流量>1mm/日になり、安定的な水量が確保できる流域であった。それより小さい流域では流量が小さく、かつ流量の無い河川流域も含み、流域ごとのばらつきも大きかった。流域面積<40ha、比高差<500mの流域であっても、比流量が2㎜/日以上の流域(9箇所)とそれ以下の流域(15箇所)があり、比流量が小さい流域では、NO3-濃度が相対的に高く、地表や土壌の流出の寄与が大きい流域と考えられた。本研究の成果から、流域面積や地形を用いた災害時生活用水源の候補地抽出手法を確立できると考えられた。

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