日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: P2-264
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学術講演集原稿
ニホンジカ生息密度が哺乳動物種の生息状況に及ぼす影響
*八代田 千鶴中村 充博岡 輝樹
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抄録

ニホンジカ(以下、シカ)が高密度に生息する地域においては、下層植生の衰退などにより他の動物種の生息状況に影響する可能性が指摘されている。そこで本研究では、シカの捕獲実績および生息密度が異なる三重県伊賀市の2地域(一ツ家、山畑)を対象として、シカおよびそれ以外の哺乳動物種の生息状況を調査した。対象とした2地域でシカの捕獲を実施している農地に隣接した林地内にセンサーカメラをそれぞれ12台および19台設置し、撮影された画像から動物種を判別した。調査期間は、2016年9月から2018年4月の約1年半であった。シカの生息密度が高い一ツ家での総撮影回数は、捕獲実績が高いことから比較的シカの生息密度が低い山畑より約1.5倍多かった。また、シカが撮影された画像の全体に占める割合は、一ツ家ではほとんどのカメラ設置地点で90%を超えた一方、山畑では20%から90%と場所によって異なった。このことから、捕獲の実施によりシカの生息密度が低くなった地域では、シカ以外の動物種の生息数が増加する可能性が示唆された。

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