日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: P2-269
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学術講演集原稿
セシウム137濃度が異なるサケ科渓流魚の胃内容物は異なるか
*金指 努和田 敏裕石井 弓美子寺本 航JO Jaeick難波 謙二林 誠二五月女 忠弘
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抄録

福島第一原子力発電所から比較的近距離の山地渓流では、未だにイワナ・ヤマメの放射性セシウム濃度が、基準値100Bq/kgを超える場合があるため、基準値以上の濃度が維持されるメカニズムを明らかにする必要がある。イワナ・ヤマメ共に、放射性セシウム濃度にはサイズ効果の影響が明らかにされているが、サイズ、採取日、採取場所が同じあっても、個体間でセシウム137濃度が1.5倍以上異なる場合がある。この個体による放射性セシウム137濃度の違いは、個体ごとの食性の違いによると仮定し、放射性セシウム濃度と胃内容物構成との関係を解析した。福島県の浪江町と南相馬市を流れる太田川にて、2018年4月から2019年3月までに採取されたイワナ・ヤマメを対象とした。魚種、採取日が同一であり、採取場所が500m以内の個体の中から、体長比が5%以内、セシウム137濃度が1.5倍以上のペアを選んだ。胃を分離して湿重を測定した後、胃を切開し、胃内容物の種構成を、可能な限り科レベルまで分類し、個体数と湿重を測定した。イワナ及びヤマメの胃から、それぞれ16目及び13目の生物が認められた。イワナでは、陸生生物の湿重割合が高い個体でセシウム137濃度が高い傾向を示した。

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