日本森林学会大会発表データベース
第131回日本森林学会大会
セッションID: P2-271
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学術講演集原稿
ボルネオ島低地熱帯雨林における林冠木13種の種子死亡要因の解明
*浅野 郁清水 加耶川越 葉澄駒田 夏生中野 由布妃山下 聡Paulus Meleng市岡 孝朗
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抄録

ボルネオ島の低地熱帯雨林では、数年に一度の不規則な間隔で、林冠構成木種を中心とした複数の分類群に属する植物種が同調して繁殖を行う現象が観測される(以下、“同調マスティング”とする)。本研究では、同調マスティング期に樹木種子が受ける捕食圧とその種子捕食者を解明するため、ランビルヒルズ国立公園(マレーシア サラワク州)で2019年に発生した同調マスティング期において大量の果実を生産したフタバガキ科4属12種 とウルシ科1属1種を対象として、果実落下数と種子捕食の有無を種子散布開始直後から散布終了まで調査した。種子捕食が確認された場合、食痕や幼虫の形態などをもとに種子捕食者を「昆虫類(ゾウムシ類、キクイムシ類、小蛾類、判別不能)」、「哺乳類」、「菌類」に分類して記録した。その結果、最も種子死亡率が高かった樹種はDipterocaarpus palembanicus(93.9%)だった。種子捕食者は、哺乳類による食害が最も多かったShorea ochraceaを除く12種で昆虫による食害が最も多い結果となった。本研究から、同調マスティング型の繁殖様式を持つ樹種の多くは昆虫による強い種子捕食圧にさらされている事が示唆された。

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